手付金の設定の様々なケース

取引内容、条件によっては、手付金の物件価格に対する割合を、あえて高く設定した方が良いケース、というものが考えられます。

もちろん、あなたが売主の場合、物件価格は変わらないのですが、手付金は一種の保険であり、上述したように、低い率での手付金の設定は、気軽なキャンセルの原因となりうるものです。高い割合の手付金を設定し、先立って預かっておけば、売主としてのあなたは、容易な契約解除に怯えることは、低いそれの設定の場合と比べれば、随分と可能性が低いと言えるでしょう。高い手付金を、現金で用意できるということは、それだけ資産力を持っているという、最も分かりやすい証拠でもあります。少なくとも買主の資金繰りに不安を覚えたりすることの可能性も、下がるのではないでしょうか。

あなたが買い主の場合はどうでしょう。もちろんあなたは、実際に物件を購入する意思があり、契約締結を本気で考えています。その場合、売主に信頼感を与え、誠実で、信じるに足る、契約を結んでおいた方が良いと判断されるような取引相手になる必要があります。それは心構えだけのことではありません。安易にキャンセルしても代償が大きくならないようにと、手付金を最低限の額にして申請するのと、高い割合で手付金を提示し、契約締結、履行をしっかり遂行するつもりだという思いを、数字で示すことができると言えるでしょう。

人気物件に入札するケースを考えてみましょう。同じ条件で、ライバルが多くいるという状況の中で、売主はどのような買主を希望するでしょうか。信頼できる人物ではないでしょうか。その信頼を、数字で、具体的な数値で表すことができるのが、高く設定された手付金である、と言えるかもしれません。